私も日本も再生が不可欠だ

日々の雑感です。興味を惹かれたこと、やるせない思い、昔話など思いついたままに綴ります。

賞状

ある方のブログを読んでいて懐かしく思い出したことがある。
パトローネ、紙焼き、暗室…
 
デジタル全盛の今となってはそれらの単語も見なくなった。
話はそれるが、品行不方正の私にしては珍しく賞状というものを頂いたことがある。
 
学校を卒業したらカメラマンになると本気で信じていた時代。
両親が必死になって止めるのを振り切り、身一つで飛び出して弟子入りをしようとある方を訪ねて・・・
結局、父に無理やり家に連れ帰られそれっきり。
 
賞状を頂いたのはその直前の冬だったと思う。
題名は「トンネルの向こう側」
ちょうど有名な女性歌手が引退宣言をした頃だったので、その方の最後の歌の題名をパクった様になってしまったが私のほうが先。
題名には著作権はないから問題ないといえばないのだが、なんだか取られたようで悔しかった。
 
自転車であちこちロケハンをして、最終的にあるトンネルを撮った。
トンネルの中を一人の少年が向こう側の出口へ自転車を押していく。
今は薄暗いけど、目の前には明るい将来が待っているという意味を込めて撮った。自分の境遇を重ね合わせていたのかもしれない。
 
焼くのも真剣だった。今ではもう出来ないだろうな、あの覆い焼き。
酢酸くさい暗室で、何とか満足の行くものが出来上がった。
出品したところ、地区大会を突破して道大会でも入選。
 
授賞式に行けることになったが経済的に恵まれていなかった我が家。
両親に旅費を出してもらうのを躊躇して話し出せなかった。
結局、学校が旅費を出してくれるということが分かり、杞憂だったのだが・・・
 
忘れもしない、大雪の中、乗換えで降りた富良野駅
いまでこそ「北の国から」で有名になったが、その頃は超過疎の小都市。
食事をしようとしても、駅前の小さなラーメン屋位しか開いてない。
同行した先生が馳走してくれたっけ。
 
そんな時代だったけれど、誰でも夢は持てた。
今はトンネルの出口さえも見えない。