島崎藤村
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり
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今日は島崎藤村の命日だそうです。
藤村は美少女画の横に書き添えられている詩を作った人だという印象があまりにも強く作家だと言うことをつい失念してしまいがちでした。
この度、ご縁があって、「夜明け前」を拝読、読了。
一貫したドキドキワクワクの展開。
現代語訳の文庫本で、第一部上下巻、第二部上下巻とかなり長編です。
実体験を登場人物に仮託していると言われていますが、描写の細かさやその時々のトピックスに謂れの一端が見え隠れします。
日本人はつい150年前まで、自国には鉄道もなかったということを忘れがちです。
ただ、その陰では時代の変化に追従できなかった庶民もいたということもまた事実でしょう。
先日どこかのテレビ番組で明治維新は革命だと述べておられましたが、私は単なるクーデターだったのだと思います。
日本に真の市民革命は歴史上起こったことがないと考えています。
そういう意味ではアラブの春のほうがよほど市民革命的です。
我々から見れば稚拙な革命ですが、日本人は彼らを笑えないのではないかと思います。
なぜなら、自分たちでは経験していないわけですから。
「夜明け前」、終盤に差し掛かってからは本を開くのも辛くなります。
色々と考えさせられる小説でした。