松竹と言えば…
番宣では自画自賛の嵐だったが、申し訳ないがはっきり言って駄作だった。
病気の件は著者ご遺族の意向で原作をそのまま使えなかったらしい。
そのせいで背景が矮小化してしまい、人をあやめる動機が甘くなってしまったことは言わずもがなだが、時代考証がまったくなされていなかった。
あの時代に、あのスーツの素材や形は絶対ありえない。
無償提供を受けているから仕方ないのだろうが、もう少し考えたほうがいい。
オープニングから数分間目でもう「だめだこれは」と感じさせてしまうなんて最初から躓いている。
頭髪についても、あの時代の警官にあんなに長髪の人間はいない。
本気で役をやらせるなら、髪の毛も切らせるべきだ。
松竹版も原作どおりではないが、荘厳さ、重々しさ、切なさややるせなさは原作に劣らず伝わってくるものだった。
原著も松竹版も知らず、今回初めて砂の器を見る人も多数いるのだろうが、あの程度の話だと誤解されると悲しい。