私も日本も再生が不可欠だ

日々の雑感です。興味を惹かれたこと、やるせない思い、昔話など思いついたままに綴ります。

最低賃金

 
 
 
連れ合いをなくした父が落ち込んでいるのを見て、家の中で泣き暮らしていても母は生き返らないから、気分転換も兼ねてシルバー人材センターに登録して身体を動かしたらは、と勧めたのは2年ほど前。
 
母は長年患ったうつ病から立ち直り、ようやっと夫婦そろって静かな老後を送ってもらえると喜んだのもつかの間、うつ病時代の大量飲酒がたたってか、今度は糖尿病を患ってしまった。
 
色々、医療機関にもかかり、民間療法などを試して何とか命の火を燃やしていたが、ある日突然「具合が悪い」と横になったまま緊急入院して、意識が戻らず一ヶ月後にあっけなく亡くなってしまった。診断は小脳出血
 
生前さほど仲良さそうに見えなかった父がここまで憔悴するのかと驚いたほど。あまりにも気の毒で掛ける言葉もなく、ただこのままでは駄目になってしまうと心配して勧めたのがシルバー人材センターだった。
 
趣味もなく仕事一筋だった父が何か出来るとすれば身体を動かして働くこと、それぐらいでしか気を紛らわせないが、70過ぎてさすがにどこも雇ってくれないというのでそれならと思って勧めてみた。
はじめは、プライドからか自負心からかあまり乗り気でなかった父も、自分自身で悟ったのかも知れない。結局センターに登録をした。
 
去年、母の一周忌に話す機会が有ったのでセンターの仕事をそれとなく聞いて見た。仕事の内容は信じられないほど過酷なもの。
 
たとえば、海水浴場の駐車場監視。
一日10時間、炎天下の駐車場で立ちっぱなしでの誘導。昼食時間も与えられないため誘導の合間におにぎりをほおばる程度。
たとえば、野球場の外輪側溝の清掃。
フルサイズの野球場の外側にある、雨水側溝にたまった泥や落ち葉をスコップで掻き出して袋詰めして、それをトラックの荷台に積み上げる。
 
夏は暑かったから大変だったと言っていた。
それでもらえるお金はほんの僅かだそうで日当5000円ももらえたら御の字、父曰く、どんなに高給を払っても誰もやりたいといわない仕事を最低賃金にも満たない報酬でやらせるどうしようもない組織だと。
 
聞いていて自分の情けなさに涙が出てきたが父は知らない土地に住むくらいなら多少しんどくても今のままがいいということだった。
じゃあ、シルバー人材センターの過酷な状況を告発してみようかというと、雇用してもらっているわけでないので労働三法や厚労省に守られた労働者でないから無理だと。
 
後になって調べて見たが、確かにシルバー人材センターは雇用ではなく請負のため、最低賃金さえ適用されない。
一番悔しいのはシルバー人材センターの職員が高圧的で威張っていることだという。
 
小宮山さん、お嬢様育ちのあなたには分からないだろうが、おろかな自己満足だけの理想論を語る前に現実を知ることが先だ。