私も日本も再生が不可欠だ

日々の雑感です。興味を惹かれたこと、やるせない思い、昔話など思いついたままに綴ります。

★エアルートは神と荷物のみぞ知る

 
 
 
「もう荷物つめるの飽きた!!」
いつも出張の準備をしてくれる妻が愚痴をこぼした。
当時、1~2ヶ月に一度はヨーロッパへ出張していた頃のこと。
「あなただけヨーロッパに何回も行ってずるい」とまで言う。
そういえば、彼女と海外旅行に行ったのは結婚式兼新婚旅行でハワイに行ったきりだ。
確かに、可哀想な状況ではある。
 
と言うことで久々に二人で海外旅行に出かけることに。
折角だから、いろんなところを回れるのがいい。
出張には持っていかないけど、今回はカメラももって行って沢山撮ってあげよう。
 
で、選んだツアーはミラノ、ベニス、パリを巡る6泊8日の旅というもの。
スカイライナーに乗っては大喜び、成田空港については大騒ぎ。
こんなことならもっと早めにつれてきてあげればよかった。
ツアーの集合場所へ行ってチケットをもらい、カウンターで妻と私の荷物を預ける。
 
航空会社はJALのロンドン経由。
機内食が出て、妻が「いいよね、自分でご飯作らなくていいのって」と言いながらワインを飲む。
 
ロンドンヒースローの待ち時間ではツアーの人たちとも仲良くなり楽しい旅行の予感。
無事アリタリアのミラノ行きに乗り込み、コールドミールが出る。また妻がワインを頼む。
「ヨーロッパの飛行機はワインもご飯もおいしいね!」
それはいいけど、ロンドン~ミラノはすぐ着いちゃうよ??
 
ミラノの空港は慣れ親しんだリナーテではなくマルペンサ。
物珍しさにきょろきょろとしながら歩いていると、急に兵士か警察かが私の上着が不自然に膨らんでいるから開いて見せろとライフルの先で示す。
ジャケットのファスナーを開いて中を見せ、単に一眼レフカメラを肩にかけてその上から上着を羽織っているだけだと説明する。
 
ちなみにライフルの先を至近距離で向けられたのは生まれて初めて。
そんな得がたい経験もしながら、荷物受け取りにターンテーブルへ。
荷物が吐き出され、次々と乗客が持ち去ってゆく。
「だんっ」と空になったターンテーブルがとまる。

なんてこった、私の荷物が出て来ない!
 
 
 ターンテーブルが再開する様子もない。
 
呆然としてしばらく立ち尽くす私に、添乗員さんが「どうしました?」と声を掛けてきた。
「荷物が出てきませんでした」と答えた私をLost and Foundに連れて行ってくれ係員に説明してくれた。
 
色々手続きをしなければならないようで、他のツアーのお客さんを待たせるわけにもいかず、添乗員さんには皆と先にホテルに帰ってくれているように伝え、妻も一緒に連れて行ってもらう。
 
荷物の色や、形、タイヤの有り無し、名札がついているかどうかなど、必要事項を書類に記入。
ロンドンにも問い合わせたてくれたがそういう荷物の届出はないとの事で探すのには時間がかかりそう。ホテルで結果を待つしかなさそうだ。
 
タクシーでホテルへ移動、ロンドンにもミラノにも荷物がないようだと妻に説明。
「洗面用具がかばんの中だ!」という妻の言葉にげんなりしながらシャワーを浴びてその日は就寝。
あいにくホテルには歯ブラシの備品がなく、妻が手荷物に持っていた歯ブラシを二人で共有することになろうとは思ってもいなかった。
 
日が変わってミラノ観光当日。
 
朝、Lost and Foundから連絡。
「t_nagasakiさん、荷物見つかりました。メキシコシティに有りました。今ロンドンに向かっているのでミラノに着いたらホテルに配送します」との事。
 
メキシコシティー??
何故そんなところに?どうやって??
何故ロンドンに向かう??
疑問は広がるばかり。
 
気を取り直して、市内観光に出かけ教会の屋上に上ったり、観光スポットで写真を撮ったり、みんなで昼食を食べたりして、ホテルに戻ってきたがまだ荷物は届いていない。
 
夜になっても荷物は届かず、半ばあきらめていたところへ再度Lost and Foundから電話がありに荷物はロンドンに届いたがロンドン~ミラノの最終便が終わっているので届けるのは明日の朝一番になるとの事。
着替えの下着もないが、仕方なくシャワーを浴びて就寝。
 
翌朝二日ぶりに荷物をやっと受け取り。
私達に同情してくれて、荷物が届くまで出発を待つといってくれたツアーの皆様、本当にありがとうございました。
 
さて、ミラノに2日遅れで届いた荷物が実はメキシコシティ経由だったという件、旅行が終わっても沢山の疑問符を残したままだった。
 
帰国後、色々考えてみて、何故、ミラノ行きの荷物がメキシコシティに行ったのかには何となく想像がついた。
これは恐らく空港コードの勘違いによるものだろうと思われる。
 
ミラノのマルペンサ空港の3レターコードはMXP、メキシコシティーのコードはMEXだ。非常に似通っているので勘違いしてしまったのだろう。
ヒースロー空港もまぬけだなと思ったが、更に腑に落ちない。
 
もし、ロンドン行きJAL便に荷物が積まれていて、その後の乗り換え時に人はミラノへ荷物はメキシコシティへ運ばれたとしたら、果たして2日後に荷物を受け取れるだろうかということ。
 
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色々調べてみたが、まず、不可能であろうということが分かった。
ロンドン~メキシコシティの片道は11時間半。
もし夕方5時半にロンドン発のメキシコシティ行きの直行便に乗ったとしても、メキシコシティ到着は夜中の23時。
ロンドン帰国便の21時には物理的に間に合わない。
 
それにロンドン~メキシコシティへの直行便は現在では13時過ぎの出発便しかない。私達がロンドンに着いたのは15時過ぎで間に合わない。
経由便ということも考えられるが、果たして経由地でもMEXとMXPを再度間違えるだろうかという疑問も依然残る。
 
では、私の荷物はどういうルートでメキシコシティに行ったのか。
考えられるのはただひとつ、成田から逆周りでメキシコシティに行ったということ。
これであれば、ミラノ到着の翌朝に見つかったという連絡があったこと、ロンドンヒースロー経由で2日後に荷物を受け取れたことも説明がつく。
 
私の荷物は成田で仕分けの時点ですでに行き先を勘違いされてしまい、11時過ぎのロンドン行きには積まれず、17時過ぎのメキシコシティー行きに積まれてしまったのだろう。
 
これだと、メキシコシティ着が夕方の17時過ぎ。21時のロンドン行きに十分間に合う。
また、私達がミラノに着いた翌朝に、荷物が見つかってロンドンに向かって飛んでいるという電話があったことにも符合する。
 
もし、成田出発時にはすでに別々の飛行機に乗っていて、ヨーロッパで再会出来たのだとすると、数々の奇跡が重なったとしか思えない。
少しでもスケジュールがずれていれば、ミラノで荷物も受け取れず、着替えもないまま旅行中過ごさなくてはならなかったのだ。
 
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以上はあくまでも推測でしかない。
もしかしたら、まったく違ったルートを通ってきたのかもしれない。
 
エアルートは神と荷物のみぞ知る。