私も日本も再生が不可欠だ

日々の雑感です。興味を惹かれたこと、やるせない思い、昔話など思いついたままに綴ります。

邦人女性に死刑判決

密輸屋とも訳されるが、実態は単なる運びやに近い。
 
私も、若い頃スマグリングをやらされたことがある、というか、経済的事情でやったことがある。
 
空港で怪しげな業者から荷物を受け取る。
内容は、これまた怪しげな化粧水だったり、大量の電子部品だったり、荷物を運ぶことでお金をお貰えるという触れ込み。
 
私の場合、さほど危ない物を運ぶわけではないので、報酬は600香港ドルという約束だった。
 
空港の荷物検査も無事終わるかと思ったが、なんと、電子部品が引っかかった。
「これは何?どこに持って行くの?」
と質問攻めにされて、しばらく足止め。
一見したら単なるダイオード。どう見ても怪しいものには見えないが、その物量が気になったようだ。無数が大箱に入っている。
 
「友達が香港で電子製品を作っていて、緊急に必要になった」
と言い訳しても、なかなか離してくれない。
何故、預け荷物にしなかったの?など根掘り葉掘り聞かれて。
 
そのうち、担当官が何を思ったのか、別の場所へ移動していった。
昼食だったのかもしれない。
そのまま立ち尽くす私に、別の担当官がやってきて
「荷物検査は終わったの?」と優しく聞いてくるものだから、つい
 
はい!
 
と行儀よく答えたところ、犬でも追い払うように手振りで、行け行けと。
 
こうして何とか飛行機に乗って香港へ。
重たい荷物を早めに渡してしまいたいと思い、指定されたビルへ向かう。
 
無事運んで、報酬を貰おうとするとそんな話は聞いてないと。
それはこちらが言いたいこと。
無茶をして、危うく別室に連れて行かれそうになりながら運んだのに。
 
「じゃ、持ち帰って依頼主に返却する」と脅したらやっと100香港ドルをくれるという話になったがホテル代の足しにもならない。
ただ、ごねても相手は広東語で捲くし立てるだけだし、埒も明かないのであきらめた。
 
金を出す段になって、今は80香港ドルしかないと財布を見せる。
ここまできて、まだ値切るかよ。
 
それ以来、スマグリングはやっていない。
もしも最初の仕事が順調に行っていたら、エスカレートしてもっと危ないものを運ぶことをしていたかもしれないな。
 
いつも、麻薬のスマグリングが発覚した、死刑になるというニュースを聞くたび、私はつくづく幸運だったと思う。