「家」という概念
日本の歴史を外国人に伝えようとする際に、幾つかの壁があります。
その中でも、特に厄介なのが、「家」という概念ではないでしょうか。
何せ、当の日本人にさえも現代では理解されていない概念ですから。
外国人に先祖の話を聞くと、当然血縁が前提になります。
「血のつながり」があるかどうかが彼らの先祖や親族の定義です。
日本では、この血族という定義が当てはまらない状態が明治以前には数百年も続いておりました。
それ以前は、「家」を維持するために、地位の高い方々から下々の者まで奔走している様子が史料には描かれています。
世界に例を見ない「家」という制度。
幸い、日本の「家」の制度を知りたいという無体な要求をする奇特な外国人はなかなかいないので、今のところ助かってはおりますが翻訳家泣かせの課題です。